プロセス・セーフティ・マネジメントのコンプライアンス・マネジメント

Design Safety System

Let's Think to Design Safety System

なにが起こっているの?(『Dollars And Sense How to misthink and How to spend smarter – 無料より安いものもある』by Dan Ariely & Jeff Kriesler 、早川書房出版 第7章「あなたが一番信頼を置いているアドバイザーはだれだろう?」から抜粋しました。

疑問や不安があるとき、だれに助言を求める? 親、牧師、教師、それと政治家? じつは私たちが一番信頼しているのは、なにを隠そう自分自身だ。これはあまりよいことではないのかもしれない。意識していようがいまいが、私たちは価值判断を下す際に自分の知恵を頼りにする。人より経験豊かでなくて、賢くなくてもかまわない。自分への過信が最も顕著で最も危険な影響をおよぼすのは第一印象で、そのとき私たちはアンカリングのえじきになりやすい。アンカリングとは、なにかの決定を下す際、その決定とはまったく関係ないはずのものごとに引きずられて、結論を引き出してしまう傾向をいう。無関係な情報によって、意思決定プロセスが汚染されるのだ。私たちが数値によって決定を惑わされるようなことはあまりないから、アンカリングはそう気がかりではない、とあなたは思うかもしれない。だがアンカリングの、より危険な第二の影響は、最初の無関係な出発点が、それ以降のすべての決定の判断材料になりかねないことだ。…………

 

そこで、行動規範(code of practice)について、Process Safety Management のコンプライアンス·マネジメントについて以下を紹介します。

Process Safety Management のコンプライアンス·マネジメント

(1)行動規範(Code of Practice)

OSHA on-site PSM evaluations のAudit で対象となる「コンプライアンス·プログラム」は、次のような欧米社会の歴史的背景があります。
英国社会は古くはギルド社会時代から、メンバーの行動を規律するための自主的なコード(Code of conduct)がありました。“code”という語は「法典」という意味と「規律」という意味があります。ここでは規律、したがって Code of conductは、一般的に今の会社では「行動規範」を意味しています。

「行動規範」は、自らの行動を律するためのものであり、英国ではこの自治の伝統が21世紀の現在に続き、各種業界団体が「行動規範 Code of Practice」を策定しています。
米国では「行動規範」は、ビジネス社会において、企業が従業員に対して法の遵守を徹底させるためのコンプライアンス・プログラムに発展しています。

米国社会におけるコンプライアンス·プログラムのコンプライアンス(compliance)の意味は、わが国で一般的に理解・解釈されている「法令遵守」という狭義の意味ではありません。まだまだ依然として、狭義の解釈の日本は残念だと思います。米国社会は「法令遵守」にとどまらず「グローバル性」「倫理性」「人権」までも含んでいます。したがって、コンプライアンス·プログラムは、企業が企業市民として事業活動を展開する上で、一般社会、国際市場およびユーザーに向けて、自らの行動を積極的に提示するマネジメント上の重要なものです。このため、コンプライアンス·プログラムは法律で規定するものではなく、企業自らが確立すべき課題です。コンプライアンス·プログラムの策定は、経営幹部によるコンプライアンス·ポリシーに基づいて、CSRで、その目標、行動、そのための組織などをプランニングすることです。

欧米企業のコンプライアンス·ポリシーの典型的な例をいかに示します。

コンプライアンス·ポリシーの例
すべての役員および従業員は、わが社の職務を履行するあたり、わが国の法律を厳格に遵守するとともに、わが社の業務に適用される海外諸国の法律を厳格に遵守することが、わが社の基本方針です。いかなる役員も従業員も、わが社の利害がこれ以外のことを必要とすると決め込んではなりません。この基本方針に反することになる命令や指示を与える権限を持つ者は、わが社には誰一人いない。

Do best heading towards our dream.

(2)安全法令遵守プログラム

安全上の法令遵守に関する評価(コンプライアンス·アセスメント)についてMIL(MIL-STD-882C)「連邦法、国際規格、国際規約は、および産業規範への準拠を確認し検証し、システムの設計上の安全性を検証し、システムの試験または運転の前に想定される安全に関安全わるリスクの総合的な評価を得るために実施し、安全評価報告書を作成すること」としています。

これにより、下の事項の安全法令遵守プログラムを確立し運用することを求めています。
コントラクター契約上の州·国·国際上の産業の安全基準·規格·基準を特定し、それらの要求事項に基づき設計および手順の遵守を文書化する。日野の事例を今一度思い出してください。

①当該システムに適用する契約上の州·国·国際上の産業関連安全基準·規格·基準を特定し、法律により要求され、または法律の適用が最良な工学的慣行であり、それらの要求による設計と手順を遵守していることを文書化する
②当該システムに残存する本質的ハザードを特定し評価する、またはシステム固有のインターフェース、設置、試験、操作、保全またはサポートから生じるハザードを特定する。その上で、受忍限度リスクへの到達を確認する
③必要な特化した安全設計特性、装置、手順、技能、訓練、施設、サポート要求事項、人体保護具を特定する
④危険物質を特定し、その危険物質の代替として危険性の少ない物質あるいは非危険物質を使用することの正当性を明らかにし、それらの物質に関する安全な保管、取扱い、輸送、使用、および廃棄に関する注意事項と手順を提供する
アセスメントには、必要な危険分析、設計図面と手順のAudit 、および機器の検査を含む。またアセスメントには、システムの設計上の安全性を検証し、運転、保全およびサポートを確実にするために必要な範囲まで、予備ハザード分析(プロセス危険分析/PHA)、サブシステム危険分析(SSHA)、システム危険分析(SHA)、運転サポート危険分析(O&SHA)の範囲と技術を織り込むものとする。

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