システム・セーフティ·マネジメント

Design Safety System

見えるかな、何とも言えない

意思決定をするとき、とりわけ急いでいるときは、持っている情報をすべて入念に検討はしない。簡単にアクセスでき、手元にできる、思い出せる情報を使う。知識を活用するときは、会議直前に急ぎ書庫をチェックするときに似ている。そんなときは、最初に目に入った、会議内容と関連性のありそうなファィルを持っていく。時間と労力をかけ全ファイルをチェックし、一番関連性の高い情報の含まれているものを探しはしない。結果、ときには重要な情報を見落とし、失敗を犯すこともある。
関連する情報をすべて入念に調べることなく、簡単に手に入る情報に頼ることを、心理学者のカーネマンとトベルスキーは利用可能性ヒューリスティックと呼んだ。利用可能性は初頭効果と新近効果という心理学の概念ともかかわりが深い。これは、私たちは目にした情報の最初と最後の部分を記憶しやすく、中間の部分ははるかに忘れやすいことを指す。これは「ファスト&スロー」早川書房から抜粋。でも、言われてみれば多くは身に覚えがあるし、中間の部分は忘れやすい。こんなことを防ぐ意味でも、米国航空宇宙局(NASA)はライフサイクルとして安全性、設計、調達、製造、試験および運用段階のシステムに実施すべきマネジメントのNASAハンドブック「システムセーフティ」2014版を刊行している。ライフサイクル思想をハンドブックに展開する点は日本では低いレベルにあると思う。(独り言)帰納的な民族と演繹的な民族との違いか。

システム・セーフティ·マネジメント

1970年代初頭に米国航空宇宙局(NASA)はライフサイクルとして安全性、設計、調達、製造、試験および運用段階のシステムに実施すべきマネジメントのNASAハンドブック「システムセーフティ」2014版を刊行。

 

NASA のプログラムマネジャー (=プロジェクト·マネジャー)は、開発システムの目的達成に、システムの全ライフサイクルを通じハザードを特定し、リスクを評価し、リスク除去低減、ミッションの成功に責任をもっている。このミッション達成に開発・運用されたマネジメントが、「システムセーフティ·マネジメント」。

システムセーフティ·マネジメントの目的は、ハザード分析、リスクアセスメントおよびリスクマネジメントに体系的な取組み、リスクを許容可能なレベルまで低減すること。


システムセーフティ·マネジメントは、
1979年に「システムセーフティ·プログラム」


1979年に国防総省のMIL (MIL-STD-882)に導入。

 

 

 

 

 

①~⑨は当たり前のことですが、内容と手順が文書化されていること。

 

次の項目で構成されている

①プランニング システムセーフティへの取組みの前に、要求事項および法的要求事項を満たすための必要な安全上の作業を決定する
②組織 システムセーフティの目的を達成するための組織上の体制
③契約 適確なエンジニアリングとマネジメントを実施するため、コントラクター(請負者、契約者)として顧客が求めている契約ベースライン=「契約条件」「契約範囲」「納期(工程)」の契約上の三要求を十分に理解し把握する
④インターフェース システム・セーフティと他の部門および他の業務とのインターフェースの管理。例、安全性とコンフィギュレーション·マネジメントとのインターフェース
⑤基準 安全性に関する基準の作成
⑥分析 危険分析およびリスク分析評価手法の決定
⑦報告 特定したハザードに対して、達成したリスクレベルを含む安全性分析評価報告書の作成
⑧評価 システムセーフティ·マネジメント、法的および顧客の要求、システムの安全性、ハザード分析などに関する評価
⑨データ 安全基準、ハザード分析データなどのシステムセーフティ·マネジメントの遂行に使用したデータ、その結果として得られたデータの保管

 

システムセーフティ·プログラムの目的(MIL-STD-882C:4.2)

システムセーフティ·プログラムは、下の事項に体系的に取り組むことを規定している。

①要している一致する安全性を、コストと効果を考慮して適宜、システムに取り入れて設計すること
②全ライフサイクルを通じてシステムに存在するハザードを特定し、評価し、除去し、その関連するリスクを管理部門の容認レベルまで減少させること
③他のシステム(優良工学的業界的慣行含む)から学んだ教訓を合む、過去の安全性に関するデータを考慮し使用すること
④材料、設計、新しい生産、試験および技術を使用し、リスクの最小化を図ること
⑤ハザードの除去は、レベルまで管理部門の容認するリスクに軽減するために実施した活動をドキュメント化する
⑥システムに関する技術開発 および 調達の各段階で、安全性を適時に織り込み 安全性の改善に要する作業を最小化する
⑦設計、変更要求、特定目的の要求に関する作業は、管理部門が容認するリスクレベルを維持する方法で達成する
⑧システムに関するすべての危険な材料の廃棄の安全性と容易性および払い下げについて、ライフサイクルの早い段階で考慮する。危険な材料の使用を最小化する。そのため危険な材料に関連するリスクとライフサイクルコストを最小化する
⑨重要な安全データは「実施データ」としてドキュメント化し、データ保管部門に提出するか、該当する設計ハンドブックおよび仕様書に対し、変更提案として提出する

システムセーフティーの設計要求事項及びシステムセーフティー作業の文書化については、別の投稿です。

 

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