コグニティブシステムを考え安全、安心な職場を!
最近よく聞く”コグニティブ”について、ひとが知っておいたほうがいいこと。
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組織の一員として、適切な行動規範の遵守や高いモラルを維持する誇りは原動力となります。 また組織の一員としての誇りとその原動力により、達成したパフォーマンスは組織に貢献していると感じることで育まれます。 組織のビジョンや目標に対する理解を深め、自身のパフォーマンスが貢献していると感じるだけでなく実際にどのように組織全体に貢献できている寄与しているかを認識することが重要です。
コグニティブシステム
コグニティブシステムはタスクを意識して実行する。そのためには、コグニティブシステムはタスクを整理して優先順位をつけ、スケジュールを立て実行します。これにより、業務全体の進捗を管理し、効率的にタスクをこなすことができます。システムは意識し実行する、そんなシステムです。意識して実行する、具体的には視覚(見る)、聴覚(聴く)、味覚(味わう)、嗅覚(嗅ぐ)、触覚(皮膚で感じる)の5つの感覚「5感」。これらは脳で処理されます、例として眼からの光を脳は画像信号に変換したり、耳からの音波を音響シグナルに変換したりして、感覚情報を処理し、知覚情報があれば知的処理をしてから、行動に移す」。
このシステムの構成は、皆さんが、何かするときにスイッチを入れる、しないときはスイッチを切る、入出力装置とほぼ一緒です。コグニティブシステムは人の知的活動と同じだと考えていただいて問題はありません。人は五感を使って上の図にあるような多くの媒体を経由して伝わってくる情報をあなたの脳が判断・解釈を行い行動を決定する入出力装置が備わっています。でも、ひとり一人の個体により入出力装置の性能は均一ではありません。
人間とコグニティブシステム
人間とコグニティブシステムは、一般的なコンピュータとは違います。システムに入る知覚情報データは構造化されていないものもありそれらのデータに対して認知・認識の知的処理を行います。またひとり一人の個体によりデータ処理をするデータ処理装置の性能は均一ではありません。
AIと違うコグニティブシステム
ではAIは?
AIは個々の技術要素にディープラーニング(深層学習)的な技術が含まれています。コグニティブシステムにはディープラーニングがなくても、システムで非構造化データなどの幅広い情報の処理をします。
知覚・行動・コミュニケーションのプロセスを伴わない単純なBOTは、コグニティブシステムとは呼びません。知覚や情報解釈を伴わないことを「認知」と呼ぶかは微妙だからです。
AIはシステムの中で一定レベルの高度な知的技術を使い、たとえば、蓄積されたデータベースを元に高度な論文を生成し続けるAIはありますが、人間や環境とのインタラクションを伴わない場合、知的なシステムでも、それはコグニティブシステムとは呼びません。
工場の安全におけるコグニティブシステムの活用事例は、AIを活用した異常検知システムがあります。例えば、製造ラインでの異常な動作や機器の故障をAIがリアルタイムで検知しオペレーターに警告を発するシステムがあります。事故の未然防止や迅速な対応が可能となり、労働災害の削減に寄与します。
また、ドローンを活用した安全監視も注目されています。ドローンが工場内を飛行し、監視カメラで異常を検出したり、危険物の存在を確認したりすることで、従来の人間による巡回に比べて効率的かつ安全に監視が行えます。
これらの技術は、オペレーターの安全を確保しつつ、生産性の向上にも寄与します。大いに使っていきたい興味深い内容です。他にも皆さんが知っていれば教えてください。
安全な職場を構築するために:ISO 31000およびISO 45001の活用
企業にとって、従業員の安全と健康を確保することは最優先事項です。ISO 31000とISO 45001は、リスク管理と職場の安全確保に関確保る国際基準です。この基準は安全な職場環境の構築の枠組み(フレームワーク)として活用できます。
ここから、これらの基準をどのように使ってPsychological safety & Well-beingで安全な職場を作りあげるかのポイントを説明していきます。
ISO 31000
ISO 31000は、リスク管理のためのガイドライン(枠組み)を提供する規格です。リスクの特定、評価、管理、監視のプロセスを構築し、組織の全体的なパフォーマンスと持続可能性を向上をします。
ポイント:
1. リスク特定と評価: 潜在的なリスクを洗い出し、その影響と発生確率を評価
2. リスク管理策の策定: リスクを最小限に抑えるための具体的な管理策を策定
3. モニタリングとレビュー: リスク管理の効果を定期的にモニタリング、改善策の実施
ISO 45001
ISO 45001は、職場の安全衛生マネジメントシステムの規格です。この規格は、労働者の健康と安全を確保し、保護するための枠組みを提供、事故や疾病の防止が焦点です。
箇条は4~10までありますが、主要なポイント:
1. リーダーシップと労働者の参加: トップマネジメントのコミットメントと労働者の積極的な参加が求められます。
2. リスクおよび機会の評価: 安全衛生リスクと機会を評価し、適切な対応策を講じます。
3. 継続的改善: 安全衛生パフォーマンスの継続的な改善を目指します。
ISO 31000とISO 45001を活用した安全な職場の構築
- リスクアセスメントの実施: ISO 31000に基づいてリスクアセスメントを実施し、潜在的なリスクを特定します。その後、ISO 45001に従って職場の安全衛生リスクを評価し、必要な対策を講じます。
- 安全衛生教育と訓練の強化: 関係者の能力向上を図るため、定期的な教育と訓練を実施します。そして繰り返し訓練により、従業員はリスクを認識し、適切に対応できるようになります。
- インシデント報告の促進: 従業員がインシデントやヒヤリハットを報告しやすい環境(高いPsychological safety)を整え、報告に対してインセンティブを提供します。そうすれば、安全文化の醸成が促進されます。
- 継続的なパフォーマンスのモニタリング: ISO 31000とISO 45001のフレームワークに基づいて、リスク管理と安全衛生のパフォーマンスを定期的にレビュー、改善を行います。
ISO 31000とISO 45001を活用することで、企業はリスク管理と職場の健康と安全の両方において優れた成果を達成できます。安全な職場環境を構築することは、従業員のWell-being=健康と幸福を得るだけでなく、組織全体の持続可能性アップと事業の成功にもつながります。
コラム
1978年にノーベル経済学賞受賞のハーパード·サイモンが書いた『システムの科学』(1969年出版)本の中に、「サイモンの蟻」という話があります。
ある日、サイモンは砂浜を歩く蟻の軌跡の複雑な模様を見ながら考えました。
「砂浜を一匹の蟻が歩いている。その後に延々と続く蟻の足跡。この蟻の残した足跡が複雑な絵模様を描くのはなぜだろうか?」
こういう疑問がわいたとき、私たちは、足跡の複雑さを生み出した原因を蟻の側に求めてしまうことが多い。
例えば
「餌を探しながら歩いていた」
「疲れてよたよたしていた」
「迷い迷いだったのか」など。しかし、
サイモンは複雑な軌跡は、蟻の認知能力の複雑さではなく、単に海岸線が複雑であるからだと考た。
つまり、蟻は、自分の巣の方向は知っている。が、途中の障害物を予測できないため、物にぶつかる度に方向を変えなければならない。結果、複雑な軌跡になった。
人のする様々な行動の実践も、現場における多様な困難さに対して、単に、個人の障害や個人の能力の視点だけから課題を定義、あるべき姿との間にあるギャップを問題化してその問題を解決することはできません。
また、問題を個人を取り巻く複雑な環境だけに帰属しているとしてしまうことにも納得はできません。課題の複雑から出てくる問題点は、個人の行為とその環境の中から結果として出てきたものです。
問題解決をするとき、個人及び組織環境の特性、環境条件、課題内容などをマインドセットの視点から分析する必要があります。
組織の業務実践の場では、予測できない障害物に出くわし、バリアーにぶつかること課題が発生しています。障害物は、思考様式、固定されたものの見方、固定された考え方、無意識の習慣、好みです。人間、組織が持つ無意識の思考・行動パターンや固定観念、物事を捉える時の思考の”くせ”のことです。
なにかを考えるときにどんな癖(クセ)を持っていますか、その癖や習慣に気づいていますか、
例えば、早く結論をだそう、じっくり考えてから結論を出そうとする、すぐペンをもって紙に書き出してしまう、まず腕組をするとか。私生活や会社仕事での行動は、その人物のマインドセットにより形成され、さらに長年積み上げられた組織の癖となっています。癖による行動を変えるには、あなたの考え方やあなたのモノの見方を変えていくことです。
組織行動は、子供の時代、小中高、大学生に培ったクセ、及び入社した会社で培ったクセが総合化されたクセが今とる行動を決めています。会社の中で働く仲間は大なり小なり「考え方」や「モノの見方」の思考様式は似たり寄ったり。
テーブルからボールが落ちそうになった、あなたはすぐ手を出しますか?出しませんか?
軌道修正をしながらゴールを目指すには、ゴールに到達できた成功事例と失敗事例について相互対話、コミュニケーションの場を持ち、いい点はコピペ、まずい点は修正で事例を活用します。失敗事例から学ぶことは多く、その組織ワークの積み重ねが成功に導くための貴重なコミュニケーションを経てフィードバック研究から得られたフィードフォワードとなります。
サイモンは、「人間には情報処理の限界があり、限界を克服するために組織を構築することが必要」と述べています。
1969年の考え方に最近の考え方を加えると、『人間には情報処理の限界があり、限界を克服するために硬直した組織ではないpsycological safetyな組織を構築し、well-beingとすること。さらに「莫大なdata(世界中の全図書館)から知識を解析してInteligence化し支援してくれるAI Chatを使いまくること」が最低の必須事項とAIの生みの親といわれるサイモンは伝えてくるでしょう。
完全でない人間の認知限界は組織をつくる原動力である。
一人ひとりの持つ情報が不足しているからこそ、人を組織に加え、全員参加を奨励し、それによって情報不足を補い、行動安全の最適化を目指す。