従来型の伝統的な組織は、自由裁量の余地はわずか
従来型の伝統的な組織は、自由裁量の余地はわずか、働く人は上から何をするかを指示され、その指示通りに仕事をしたかを管理されています。思い切って何かをすると、権限の範囲を超えてしまう。
組織が何をするの要領を規定している場合、多くの管理者は仕事のやり方を管理して結果を出すことを好む。管理する目的とその成果ではなく一般的に仕事のやり方、手段を管理している。
裁量の余地を生むために、部下と仕事の内容と成功について話しあい成功の基準を明確に定め、そのあとは仕事をやりたいようにやらせる。そして組織の目的と社員の目的を達成するために部下を信頼し彼らのやり方に任せる。こうした状況は管理職にとっては居心地の悪いものかもしれないが、部下は仕事でミスが発生しかねないと思ったとき自分で決めたやり方を改善し成功を享受し学び以上のことを学ぶことができる。ミスが起きてから学ぶのではなく仕事のプロセスでミス・過ちを先取りしそのプロセスで修正していくことに取り組む、乗り気になることが必要である。このような寛大な組織すなわちサブシディアリティ・ユニット1には従来と違ったタイプのリーダーが必要になる。Note:1 サブシディアリティ(Subsidiarity)は権限を分担すること。問題解決はできるだけ小さな単位で行い、対応しきれないときは大きな組織で補完する。
リーダーは、司令官、士官、検査官、裁判官のようにふるまうことではなく、アドバイザー、コーチャー、カウンセラー、友人としてふるまう技術を身につける必要があります。また、新しい管理職、リーダーは成功の基準を社員と明確に定め、納得を得て、仕事中に対話をし、ミス、失敗の兆候をお互いに見つけだし、修正・改革することが必要です。
チャールズ・ハンディは、三つ葉のクローバーを使って三位一体組織をシャムロック型組織と呼び、その組織形態を提唱しました。 この組織形態は、3つの葉がそれぞれ異なる役割を担い、それぞれが独立しているが、密接に同時連携していることを特徴とします。この組織形態は、企業がグローバル化する中でより柔軟で効率的な組織形態として注目されています。
シャムロック型組織の長所、
以下のようにまとめられます。
- 柔軟性が高く、変化に対応しやすい。
- ユニットが中心となって意思決定を行うことができる。
- 従業員のモチベーションを高めることができる。
一方、
シャムロック型組織の短所
以下のようにまとめられます。
- 業務分野ごとに専門性を持った人材を確保する必要がある。
- ユニットが中心となって意思決定を行うため、経営陣の意見が反映されにくい。
- 3つの葉は異質であり、それぞれに責任が分散されているため責任逃れや責任回避が起こりやすい。
以下に『シャムロック』型組織を詳しく説明します。
『シャムロック』型組織について
小さな組織が分権化され機能するサブシディアリティーユニットは自律的組織の連合体となり、それらは伝統的な会社組織に変化を与え、変革させ、時には従来の組織を打ち砕き、小規模で自らが満足する「原子核構造状」ユニットが生まれ、ユニットには固有の性格が備わり、さらに旧型組織の上部構造は、ほぼ取り除かれることにつながる。そしてユニットチーム員はこの過程で自分の仕事を自分で作る一人のビジネスリーダーとなります。
チャールズ・ハンディは「シャムロック型組織」と呼ぶものは、様々な異質の要素が一つにまとめ上がった組織であると述べています。ユニット、ビジネスユニット、サブビジネスユニットはユニットがお互いに連携し合う「緊密」状態になっています。ポスト資本主義の知識社会では「緩やかさと緊密さ」が同居していました。シャムロック型組織は「緊密」となります。
「シャムロック型組織」は1989年に世に出た
チャールズ・ハンディがシャムロックの葉を用いて、組織の興味深い面を説明した「シャムロック型組織」は1989年の『ビジネスマン価値逆転の時代』(日本のTBSブリタニカ刊)が最初でした。
アイルランドの作家1925年7月25日・哲学者で、組織行動と経営を専門としている。彼が進めたアイデアの中には、「ポートフォリオキャリア」と「シャムロック組織」(プロのコアワーカー中核社員、外部契約の労働者、パートタイム/臨時労働者がそれぞれ「シャムロック」の三つ葉を形成しています。)彼は、最も影響力のあるビジネス思想家のプライベートリストであるThinkers 50にランクされています。2001年にはピーター・ドラッカーに次ぎ2位、2005年には5位でした。ハーバード・ビジネス・レビューが50周年を記念する特集号を出版したとき、ハンディ、ピーター・ドラッカー、ヘンリー・ミンツバーグに特別記事を書くように頼んだ。
ハンディはシャムロックの三つ葉を、異質の三つのグループの象徴として用いています。
(「異質とは、性質が異なっている、一般的なものとは異なっている、また、違っている性質・特徴・タイプ(類型)」を意味します)
第一の葉:中核(中心)を担う専門職
ハンディは一枚目の葉に、新しい組織の中核を担う社員の専門職、技術者、知識労働者、管理職からなり、組織の差異を示すそれぞれの知識をもっています。組織の将来にとって極めて重要な人々です。高額給与、付加給付、会社の支給可能な不定期的な給付金が支払われます。その代わり、当時の勤務時間は週70時間、仕事に打ち込むことが求められていました。アイデンティティや人生の目的をすべて仕事の中に見出します。キャリアや昇進という点から物事をとらえ、人に指図されることなどはなく、自分の名を知らせたいと願っています。活動は知的サービスを提供する組織、コンサルティング会社や広告代理店、弁護士事務所のパートナーたちの働きぶりによく似ています。組織の中核を担い、組織決定に影響を与える少数の人々で、この中心的なグループは少人数でほかの職種の人からの支援を必要とします。支援をする人々はシャムロックの二枚目の葉にいます。
第二の葉:外部の契約社員
第二の葉は、特別のプロジェクトや組織的にはそれほど重要度の高くない業務をします。中核メンバーの専門範囲外の業務や中核を担う専門職の業務でないルーチン業務、定型業務を担当します。外部契約コンサルタント、契約社員、各種分野の専門家などです。外部委託会社の社員、フリーの専門家や技術者もこのカテゴリーに当てはまります。たとえ依頼元で正社員として働いていた者も第二の葉に含まれます。報酬は勤務時間ではなく成果に対して支払われます。また依頼元の企業は、日常業務に関して最低限の管理を行うだけです。採用企業はこのグループの労働者にはできるだけ低い賃金を支払いできるだけ多くの成果を上げさせようとする傾向にあります(今の日本はまだこのような基準をもっています)。だが、ハンディは30年前でもこの傾向は改めるべきだというアドバイスを持っていました。契約社員にとって重要なのは、成果に対して支払われる報酬です。シャムロック型の組織はこのことを忘れてはならない。会社に対する忠誠心も素直に働いていればジョブセキュリティーが確保されるという暗黙の取り決めも存在しません。望ましい成果を上げた者には十分報酬を支払うべきで、さもなければ、仕事の質は落ちることになります。
第三の葉:臨時社員、パートタイマー
第三の葉は、パートタイマーや臨時社員など、勤務形態に融通のきく労働力です。店舗やサービスカウンターを夜間や週末に営業する、仕事量がピークの時期の補充人員に当てる、といった目的で雇われます。
「このグループの人々は労働市場を形成し、雇用者側は気が向いたとき、必要に迫られたときにこの市場からできるだけ低賃金ですむ労働力を見つける。(今の日本はまだこのような基準をもっています)」。このグループの中には、早く現在の境遇を脱し、定職に就き、組織の中核を担う社員としてまたはフリーの労働契約の社員として働きたいと願う人々もいます。また、単に臨時収入を求めるだけの人々もいます。中には、生活費を稼ぐためにパートタイムの仕事を二つ、三つと掛け持ちする者もいます。さらに、こうした形の労働を、これから先、定職に就くための実習期間と位置づける者もいますが、ハンディはこうした労働者が中心社員のような献身とやる気を示すことは少ないと説明します。でも彼、彼女らをどう処遇するかは大きな影響力が事業にあります。「彼、彼女らを日雇い労働者のように扱えば、相手もそういう態度で応じます。臨時社員やパートタイマーが組織にとって重要ならば、かれらに十分な投資を行い、たとえ他社に応募する際に必要な資格を身につける結果になろうとも技能訓練を実施し、一定の地位や恩典(有給休暇や病気休暇を含む)を与えることが必要です。そのとき初めて、組織の水準維持に必要臨時社員やパートタイマーを確保することができます。
まとめ
日本の会社の雇用形態は依然従来のまま、組織形態は伝統的な組織のままです。30年前と何らの変わりを感じることはできない。
また第二の葉、第三の葉の上で働く人の問題と処遇は、毎年毎年、国会で取り上げられていますが大きな進展ない。産業界も関心が薄い。
ときには、第一の葉:中核(中心)を担う専門職、第二の葉:外部の契約社員も、第三の葉:臨時社員、パートタイマーへの処遇に進展があると、「さすがうちの会社はいいことやるね」程度の声しか上がることはない、さらに改善を進め、一次的な活動で終わらず組織形態を回りやすくする革新に取り組む継続的な動きになっていかない。
第四の葉
四つ葉のクローバを考え、第四の葉の新しい集団について考え、全員が関心を持ち取り組む、そして変革のスピードアップをはかることで、現在停滞沈下する組織を浮かび上がらすことが喫緊のとり組みです。