Catch or release behavior for safety.

「キャッチ・オア・リリース」

あなたはどちらに属しますか。
机の上からものが落ちるときに、とっさに手を出してキャッチしようとする人、キャッチしないで落ちるまで待つようにする, どちらですか。

今日は、これらの人の行動、動作に注目し、人の脳の動きについて報告します。

わたしは咄嗟に手をだす派です。

つかむ、つかまないは「キャッチ・オア・リリース」と呼ばれています。キャッチ・オア・リリースは、落下物に対する反応パターンの一種で、落下物をキャッチしようとするか、リリース(放す)しようとするか人によって違い、個人差や状況によっても変わります。

一般的には、落下物の大きさや重さ、危険性、落下するモノの価値などが影響します。例えば、小さくて軽くて安全なものであれば、キャッチしやすいですが、大きくて重くて危険なものであればキャッチしないでリリースしやすい。価値ある壺、皿はどうでしょうか??価値を知っているか、知らないかによります。

この反応パターンは脳でどのように決まるのでしょうか。実は、この反応パターンは、脳の前頭前野という部位が関与しています。

前頭前野は意思決定や行動制御などに重要な役割を果たす脳の領域です。前頭前野は、落下物に対する情報を受け取り、その情報をもとにキャッチ・オア・リリースの判断をします。その判断は、前頭前野から運動野という部位に伝達されます。運動野は、筋肉を動かす指令を出す脳の領域です。運動野から受け取った指令に従って、手や腕などの筋肉が動きます。

 

このように、キャッチ・オア・リリースは、脳の前頭前野と運動野が連携して行われる反応パターンです。この反応パターンは、効率性などに関係しています。例えば、キャッチすることで落下物を保護したり利用したりできますが、リリースすることで危険から逃れたり無駄なエネルギー消費を防ぎます。

さて、ここで安全行動についてキャッチ・オア・リリースの視点で考えてみましょう。

安全行動とは、自分や他人を危険から守るために行う行動です

安全行動には、

  • 予防的な安全行動:事故や災害が起こる前に行う行動
  • 対処的な安全行動:事故や災害が起こった後に行う行動

の二種類があります。予防的な安全行動では、キャッチ・オア・リリースの判断が重要です。例えば、

  • 落下物を発生させないように机の上を整理整頓する(キャッチ)
  • 落下物が発生した場合に備えて手袋や安全靴を着用する、ヘルメット(リリース)

などです。これらの行動では、落下物の危険性や自分の能力を考えて、キャッチ・オア・リリースの選択をします。対処的な安全行動では、キャッチ・オア・リリースの反応が重要です。
例えば、

  • 落下物をキャッチして自分や他人を守る(キャッチ)
  • 落下物を避けて自分や他人を守る(リリース)

などです。これらの行動では、落下物の速度や方向、自分や他人の位置などを素早く判断して、キャッチ・オア・リリースの反応をします。

以上、私がサーベイした文献から得られた知見です。この知見は、人間の行動や思考について深く理解するために役立つと思います。

参考:
前頭前野はヒトで最もよく発達した脳部位であるとともに,個体発生的には最も遅く成熟する脳部位です。一方老化に伴って最も早く機能低下が起こる部位の一つです。この脳部位はワーキングメモリー、反応抑制、行動の切り替え、プラニング、推論などの認知・実行機能を担っています。

運動野は脊髄などに神経線維を送り、運動の開始と調節にかかわる大脳皮質の領野

Design Safety System

Atsushi Yoshida

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