HAZOPで使われる「モア orレス(more or less)」は二分割法のツール。一見バカバカしいほどに単純だが、PDCA体系のプロセスチェックには効果的
ビジョンとは、何だろうか。自分たちのありたい「未来の姿」
ビジョンとは、何だろうか。自分たちのありたい「未来の姿」、を視野に入れ、「自分たちはこうなりたい」と思うイメージです。絵から、飛び出すビジョンをみれば、元気、勇気が出てきます。そんなパワーが必要です。そして、ビジョンを共感し、共有できれば、作成されたビジョンは、“そうだ!本物になって早いうちに飛び出そう”、とビジョンの“さなぎ”から“蝶”になります。脱皮しない壁掛けビジョンはたとえあっちこっちに掲示していても烏合の衆でDNA変革には影響しません。
アメリカのキング牧師の、”I have a dream……….”、は訴える力がありましたね。アポロ計画のケネディ大統領のスピーチも、オバマ大統領、いやトランプ大統領も、現在のバイデン大統領にも訴える力があります。でも、日本では、訴求力、説明力は全く見えません。いかがですか。
さて皆様の組織はいかがですか?会社が持っているビジョンを実現しようと皆さまは勇気付けられていますか。壁掛けビジョンはつぶやいてくれていますか?
日常のマネージャークラスがビジョンを話すことにより、そのプロセスを通じて、個人の考え方を共有すると、周りにBrain Stormingが回りはじめます。時には、“休憩時間に、社のビジョンを語り、ビジョンを壁から外し、社員のそれぞれが話合う”、 このプロセスを通して、腹落ちするビジョンには共感があり、心がこめられます。心に込めたままではなく、組織に浸透させるにはどうすればいいのでしょうか。
メンバーの気持ちを引き出し、チームのビジョンをつくるファシリテーションスキルについて考えてみましょう。漠然と「どんなビジョンがいいですか?」「二年後にどうなっていたいですか?」と声かけや問いかけをしても、なかなか意見は出てこない。普段からビジョンを気にかけている人、考えている人は少ないから意見や関心がまわりからでないのは当たり前か。
では、ここからプロセス安全性に話を変えて、ファシリテーションについて話を進めます。
安全性評価手法の一つのHAZOP(Hazard and Operability Study)でリスクの網羅的な洗い出し
引き出すための方法はいろいろあるが、プロセスや操作における危険源を抽出に用いられる安全性評価手法の一つの世界中で幅広く用いられているHAZOP(Hazard and Operability Study)でリスクの網羅的な洗い出しをどのようにするかについて説明します。HAZOPで使われる「モア orレス(more or less)」は基本で二分割法のツールですから、一見単純ですが、ビジョン展開やプロジェクト計画などPDCA体系のプロセスチェックには効果的ですからよく利用しています。時間はかかりますが、ありえない想定外を洗い出す手法です。使い方をどうしなければいけないという手法ではありません、空間・時間の上限・下限の、存在・方向の正・逆などのガイドワードを使って、ありえないと思われる想定外にたどり着くことができる手法です。
リスクアセスメントシートの中間フォロー時にシートを見ると、60%のリスクは特定され、
でもアセスメントは30%しか、そしてそのレビューは50%、コントロールしているのはそのうちの40%ということが分かった。
この結果のようになっているのは、なぜかを追求するときに、Parameter 、Guideword、Deviationを使ってみます。
例として3つ、①Flow (流れ、展開、), ②Temperature (温度、熱意、取組み情熱),③Pressure(プレシャー、圧力) のParameter 、Guideword、Deviation
Flow No No flow |
More Higher flow rate |
More quantity flowed(~の後に、より多くの量が続く) |
Less Lower flow rate |
Less quantity flowed |
Reverse Reverse flow |
Other Than Misdirected flow(間違った方向への流れ) |
Boiling |
Freezing |
Temperature More Higher temperature |
Less Low temperature |
Pressure No Zero Pressure (Gauge) |
More Higher pressure |
Less Lower pressure |
理想のプロセスを想像してもらいながら、上の表を見ながら現状と比べてあるべき姿にはやる気の活動の温度は、何が増えているのか、何が減っているのかを言ってもらう。また情報展開の流れはNo flow、Lower flow rate、Less quantity flowedなの、どうなのかを言ってもらう。 ミーティングファシリテーターは、それをみんなに書いてもらい、見えるように記入されたポストイットを、模造紙などに張り付けていきます。「増えること」は左側に、「減ること」は右側にといった具合に分けて書き出すと次の対策の発想がしやすくなります。メンバー一人ひとりに大型のポストイットを使って書いてもらい、それを壁に貼っていくというやり方でもいい。書いたものを共有化することは絶対です。
HAZOPのガイドワード+フレームワークなしに理想のイメージを言い合うと収拾がつかなくなるが、「増えること」「減ること」という単純なフレームワークだとイメージも湧きやすく、全体で共有しやすい。出尽くしたら、書いたものを見ながらイメージを共有していく。全員でキーワードを抽出して進めます。
対策の文章化ではキーワードを抽出します。抽出したら、それを文章(対策ステートメント)に落とし込まないといけない。文章は一人で書くしかないので、キーワードや考え方を整理して、参加者の中の誰かに叩き台文をつくってもらうと全員参加ができます。または数人のひとに書いてもらってからお互いに評価し合う、そして一つにまとめていくというやり方もお勧めします。いろいろな集会を開いたとき、「モア orレス」を使った意見だしとイメージの共有を行なってみると、腹落ちにつながります。
討議やミーティングでの意見だしのプロセスを共有すると「共感回路」が働き出し、イノベーションに向けてずいぶん変わってきます。
参加者たちは書いたものに、ただ単純に足しただけでは、合意された対策にはなりません。その中にキラッと光るものを見つけましょう、ポジティブな職場組織のマインドがセットされます。ぼんやりとしか見えないものが飛躍して、はっきり目に見えてきます。
ビジョンやプロセス安全の対策書づくりのコツは、 リフレーミング
三人のレンガ職人の話をご存じだろうか? (中略)しかし、三人目は、「大聖堂をつくっているんだ」と誇らしげに明るい顔を向けた、という寓話である。やっていることは同じだが、どこを見ているのかによってモチベーションが変わる。
自分の会社生活を作業レベルでしか見られない人と、その先にあるビジョンを見て、元気でいきいきと会社生活のできる人の違いは大きい。同じ物ごとでも、フレームを変えれば別の見方、感じ方になる。長所が短所になり、短所が長所にもなる。
最後に的確なビジョンの入った対策書をつくるには、リフレーミングが大事です。対策書をコップと見立てて、対策書の中味はコップ半分だと、水を見て「半分しかない」と思うのか、「半分もある」と思うのか……。その違いが、考え方や行動に大きな影響を及ぼします。ネガティブなマインドか、ポジティブなマインドか、によって影響に違いが出ます。
では、どうやってリフレームするのか? レンガ職人のエピソードが語るように、目線を上げたときに何が見えるかを考えたことです。気づいた人は“ちょっとガイドワードのDeviationが少なすぎません??”と言葉を発する。フレームワークを強制的に考える助けとする。例えば「過去と未来」「モアor レス」のような二分割法が、リフレーミングに力を発揮する。
プロセスを共有することで共感回路を働かせるという効果があると述べましたが、一人で考えるよりも、チームで考える方が、集団心理が働いてリフレームしやすいという効果があります。
ではここで、もう一つみなさんに考えていただきます。優秀なファシリテーター(あるいはリーダー)になったつもりで、次の場合にどうリフレームさせるか考えてほしい。
【問題】
「リソースがない」「時間がない」……。そう思い込んでいる人を、あなたならどうやってリフレーム
しますか?
Have a safe and nice day.