Improve performance to get to your goal by risk management.
Clear and Present danger
今ここにあるものが良い状態にある、そして、”ああよかった、今までちゃんと身の周りの危険な状態をなくし続けるため、状況判断の訓練を積み、自分は今どこにいて何をしたらよいのかという意識を敏感にすることが出来ていた”、これがリスクマネジメントです。パフォーマンスを改善し,イノベーションを促進し,目的達成をすることに結びつくように組織を支援する。
あまりにも人間的な事故
……………そうした問題点は現在も無関係ではないのだ。知識が蓄積されていくにつれ、みんなは思いがけない場所で起こったごくありふれたミスが招いた結果をいっそうよく記憶するようになる。われわれはそうしたミスを減らすことはできるが、根絶することはできない。DC-10の貨物室ドアの場合がよい例だが、現場で発生するさまざまなミスに対応できるように設計者が意図しなければ、その装置は役に立つものとはいえないのである。
いつでもどこでもミスは起こっている、通常、われわれは多くのミスをおかしても、代価を支払うことなく暮らしていける。旅客機乗務員を調査したところ、長距離フライトでは小さなミスを何回もくりかえしていることが明らかになった。管制官からの指示を聞きまちがえ、二度めの指示でやつと気づいたとか、最新式の電子装置で飛ぶ航空機の設定をまちがえたとか、手動操縦しているときに目的の高度を超えて上昇してしまつたとか。かの奇跡の日にDC-10でオンタリオ州上空を飛んだプライス·マコーミック機長でさえ、ミスをおかしていた。尾翼の水平安定板が操作できなくなっている、と彼は決めつけてしまった。実際仁は作動していたのだが、緊急時操作にたいする反応が遲かったため、動いていないと思ったのだ。着陸後、空港消防署に向かって走る機体の進行方向を変えるには、逆推力装置のセッティングを変えればいい、と真っ先に気づいたのも、機長ではなく副操縦士のほうだった。よくできたシステムと「乘務員資質開発管理」術にすぐれたオペレーターがそろえば、ミスや故障もおどろくほどうまく乗り越えられる。幸運のせいだという人もいるが、ほんとうは弹力性と冗長性の問題である。
コックビットの記録を調べてみると、もしこの冗長性という要素が欠落している場合仁は、びっくりするほど小さな問題が取り返しのつかない混乱につながることがわかる。冗長性の重要さを示す古い例としては、1972年12月29日、イースタン航空401便が飛行中に遭遇した事態があげられる。L-1011トライスター機はマイアミへ接近中で、夜間の天気もよく、すべて順調に思えたが、着陸装置をおろしてロックするコマンドを出しても、車輪の状態を示すパネルには緑色のライトが点灯しなかった。進人管制官は、高度600メートルを維持しながら自動操縦による飛行をつづけたいという401便側の要請を承認した。その間に、機長、副操縦士、機関士が前脚のトラプルをチェックするというのだ。副操縦士は、緑色パイロットランプを点検し、切れていれば交換しようと、その電球が収まっている電子部品を取り外した。問題は電球が切れていたことにあったのだが、乗務員は誰もそのことを知らなかった。……………………………………………以降本文の最後に続きます。(出典:最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか ジェームスチャールズ 草思社)
リスクマネジメント ISO規格31000の箇条4
左図はリスクマネジメント ISO規格31000の箇条4:リスクマネジメントの価値の創出と保護を説明しています。この図は枠組みで、リスクマネジメントを行うため組織のリスクマネジメント原則の土台となります。
リーダーシップおよびマネジメント(箇条5)及びプロセス(箇条6)を確立する際には原則が必要です。組織目的に影響を与えるa)-h)によりマネジメントの可能性は高くなります。
要素は、図の上部 integrated から右回りに continual improvement まで、
a)統合:リスクマネジメントは組織の全ての活動に統合され, b)体系化及び包括: 体系化され包括的な取組みは,一貫性のある比較可能な結果を出すことに寄与し、c)組織への適合: リスクマネジメントの枠組みとプロセスは組織の目的に関連する外部及び内部の状況に合わせたバランスが取れている。d)包含: ステークホルダの適切で時宜を得た参画は,知識,見解及び認識を考慮、これが意識の向上と十分な情報に基づくリスクマネジメントにつながり e)動的: 組織の外部及び内部の状況の変化に伴ってリスクが出現,変化,消滅することがある。リスクマネジメントは,これらの変化及び事象を適切に予測し,発見し,認識し,それらの変化及び事象に対応する。f)利用可能な最善の情報: リスクマネジメントへのインプットは,過去及び現在の情報,並びに将来の予想に基づく。リスクマネジメントは,これらの情報及び予想に付随する制約及び不確かさを明確に考慮に入れる。情報は時宜を得ており,明確であり,かつ,関連するステークホルダが入手できること。g)人的要因及び文化的要因: 人間の行動及び文化は,それぞれのレベル及び段階においてリスクマネジメントの全ての側面に大きな影響を与える。h)継続的改善: リスクマネジメントは,学習及び経験を通じて継続的に改善される。
あまりにも人間的な事故(続き)
マイアミから西<飛行中で、下は広大なエバーグレーズ湿原だったから飛行高度を確認する目印となるものはなかった。電球を点検しているときに乗務員のだれかが操縦桿にぶつかったため、自動操縦のスイッチが解除されてしまった。混乱はつづいた。緑色ランプの収まった部品をもとにもどそうとしたときどこかが壊れた、と副操縦士が白状した。新しいパイロットランプによる判断はできなかったので、機長は機関士をコックビット下のコンパートメントヘ行かせ、前脚のメカニズムを目で点検させた。ところが、もどってきた機関士は、暗くてよく見えなかった、と報告した。ほかにもまた電子回路障害が発生した。機関士はふたたび前脚を点検しに下りていつた。故障したランプ部分について機長と副操縦士が相談していた3分間に、警告チャイムの音が鳴りはじめた。それを聞けば、いまの飛行高度は指定高度より75メートル以上も低いことがわかるはずだった。ところが、だれもその警報を耳にしなかったようだ。なんらかの手を打つことができる最後のチャンスは、同機が指定高度の600メートルから逸脱していることに進入管制官が気づいたときだった。管制官が高度を指定したのにパイロットが承諾なしに逸脱していたのだから、管制官はその不一致を指摘すベき立場にあった。とはいえいっぼうでは、パイロットは乘務する航空機の飛行に関する全責任を負っている。板ばさみになった管制官は妥協の道をさぐり、「そちらの具合はどうなっているか?」と401便に無線でたずねた。そうすれば乗務員は状況をチェックしてから返事をよこすだろう、と管制官は予想した。この時点で401便のコックビット内には4人-3人の乘務員と、補助席にすわっているイースタン航空の整備士ひとり-がいたが、全員がランプ相手に悪戦苦闘中だった。管制官の無線連絡にたいして、401便からはマイアミへ引き返したいという反応があっただけだった。管制官が連絡してから30秒後、401便は湿地に墜落した。その7秒前、副操縱士は高度が低すぎるとロにしているが、なにか手を打つ時間はすでに残っていなかった。状況判断の調練を十分に積んでおけば、危機に直面すると注意力がせばまるというむかしからの非常時の習性を克服できる。その成果は多くの場面で見られるが、いずれの場合にも共通していえるのは、いま自分はどこにいて、なにをしたらよいのか、ということを思い起こすことだ。もつとも印象的な訓練の例は、航空管制官にたいするものである。かれらは自分が担当するすべての航空機の進路、高度を記人した一種の想像上の地図-「ビクチャー」と呼ぶ-を頭のなかに描く。かれらはこの課題をみごとにこなし、たとえレーダー画面が消えても管制業務をつづけることができる。(出典:最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか ジェームスチャールズ 草思社)