RBI:Risk-based Inspection. RBM:Risk-based maintenance rv.

私たちの背負う「リスク」に祝日はありません。「四六時中、異常なし」という最高の平凡を守るため、目を光らせていらっしゃる皆様に心からの敬意を。

現場で汗を流す保全のプロも、数字と格闘する事務系の皆様も、今日は少しだけ「心のRBI(リスクベース)」を! 完璧な「心身のRBM(メンテナンス)」を!、RBI、RBMの感度を整えるヒントをお届けします。

 

p.1 プラントメンテナンスでは、RBI/RBM(リスクベースインスペクション/メンテナンス)

RBI/RBMの技術的手法を最大限に活用し、リスク低減に向けた優先順位を明確かつ的確に設定することで、設備の信頼性向上と保守コスト削減に大きな成果をもたらす。さらに、設備の劣化や故障リスクに対しては、「安全第一」という揺るぎない基本方針のもと、保守・点検スケジュールを緻密に策定し、その計画を一切の妥協なく確実に遂行していく。

 

p.3 現状のメンテナンス活動の問題点

現状のメンテナンス活動における最大の悩みは何でしょうか?
まるで年季の入った設備が「まだまだ動ける!」と老朽はしているものの頑張っている一方で、あちこちからギシギシと悲鳴をあげていることです。老朽化や劣化はまるで内臓疾患のように静かに、しかし確実に進行し、その結果、近年ではメンテナンスに対する要求が「至急!」すぐ対処せよのレベルで高まっています。果たして現状のメンテナンス技術や技能は、この内臓と骨董品の2軍に立ち向かえるほど高いレベルで維持されているのでしょうか、それともハンマー,ねじまわし、油差し一本で設備の生き延びを祈る日々なのでしょうか。

例えば、発電設備の事故原因の多くは「保守不良」で、まるで機械たちが「今日は休む日」と勝手に決めたかのように損害額も大きな割合を占めています。近年、プラントの事故件数が増えているのは、ベテランが去り、新人が「このボタン何?」状態になっていることや、技能伝承がゲームみたいにうまく引き継がれていないことが背景にあります。さらに、メンテナンスは必ずしも科学的合理性に基づいて行われてきたとは限らず、まるで「昔からこうだから!」という昭和の頑固一徹方式。問題解決には単に資源をドバッと投入するだけでは足りず、むしろ笑顔とユーモアも交えつつ、合理的でコスト効果の高いメンテナンス方法を真剣に考える必要があります。

取り組みは、対象設備や業界ごとに別々に扱われていることです。縦横の連携がなく、プラント系工場、加工組立系工場、設備機械工作系、インフラ分野ごとに議論が分かれています。

中には「ウチはヨソとは違う!うちの機械はみんな個性があって、同じやり方なんて通用しないんだ!」と胸を張る人もいます。しかし忘れてはいけないのは、工学というのはバラバラな個性の中から共通のクセを見つけ出し、それを法則やルールにまとめて、スマートに問題を片付ける学問何です。つまり、メンテナンスの世界では“マニュアル”こそが最強の武器。それでも「ウチはヨソとは違う」病は根強く残り、現場での武勇伝や失敗談は設計部門に届かずじまい。逆に、設計段階で決めたメンテナンス方法が、現場では「これ無理っすね」とあっさりスルーされることもしばしば。結局のところ、リアルな運転条件やガチな使用環境でのドタバタ経験を反映した、現実的な方法へのアップデートが必要なのです。

……そうは言っても「ウチはヨソとはまったく別の衛星に住んでいて、同じアプローチなんて夢物語。会社が違えばメンテナンス予算も人材も、まるでホテルと簡易旅館くらい違う。背景事情はいろいろあるけれど、このままだと体系化は遅々としてカタツムリのごとく進まず、期待されるメンテナンスの合理化や、その先にある効率化への道は巨大なシャッターで閉ざされてしまう。肝心なのは、保全要員が「これ、昨日のトラブルとそっくりじゃない?」という共通点探しゲームをスルーして、同じ問題を解決するための時間も取らず、メンテナンス技術のレベルアップもまるでとレーニングを三日坊主でやめるかのように放置してしまっていることだ。

メンテナンスに関してもうひとつのさらなる問題は、「メンテナンスはライフサイクル全体に関わる重大事項だ」ということはみんな頭ではわかっているのに、いざ話し合うと必ずと言っていいほど「ウチはヨソとは違うんです、同じアプローチなんて無理無理!会社が違えば予算も人材も背景も、ついでに社内の空気感まで違うんだから!」という、お決まりのセリフが飛び出すことだ。

p5.定めらる、推奨されるメンテナンス方法は完ぺきに使わない。

メーカーがせっかく定めてくれた推奨メンテナンス方法も、「改善する、そんなのする暇があったらコーヒーでも飲むよ!」と言わんばかりにスルーされ、不十分なまま実施されることがあります。さらに、設備のライフサイクル全体を通じた一貫したメンテナンス管理はまるでダイエットのように続かず、その結果、効率化という名のチーム列車はホームから発車できません。これまで述べてきたようなメンテナンスの問題は、残念ながら一晩寝れば解決するようなものではありませんが、次に挙げる取組みこそが、この長期戦を乗り切るための策となるのです。

1.サイクリック型社会におけるメンテナンスの重要性の認識

社会はいま、まるで「ぐるぐる回る遊園地のコーヒーカップ」に乗っているかのように、サイクリック型社会へと突入中です。大量生産・大量消費・大量廃棄という、モノが主役のライフサイクルから、今度は「使えるうちはとことん使う!」という使用価値重視のライフサイクルへシフト中。この流れの中で、循環型社会におけるメンテナンスの大切さを「おっと、これ忘れてた!」と再確認する取り組みが求められています。

2.メンテナンス概念の再確立

メンテナンス技術体系を確立するには、まず①「メンテナンスとは何ぞや?」という基本概念を再び叩き直す必要があります。世の中にはいまだに「メンテナンス=修理」あるいは「壊れたら直せばいいじゃん」という昭和の職人魂全開な考え方を持つ人がいます。しかし②本当のメンテナンスとは、使いながらチョコチョコ改善・改良を加え、モノを“もったいない精神”で長く愛でることに他なりません。まるでお気に入りの靴を磨き履き続けるかのように。

生産設備では、運用中の地道な改善や改良が稼働率アップと故障の激減に効くことはすでに実証済みです。耐久消費財や生活消費財でも同じく、レンタル、リース、サブスクなどをうまく組み合わせ、時にはアップグレードも交えて、メンテナンス・サービスを展開すれば、財布にも地球にも優しい「コストフィット&環境効率アップ」という二兎を一気にゲットできるのです。

p.6  ITを駆使したメンテナンス管理は、

まるで製品や設備の一生を見守る専属マネージャーのようなもの。継続的な改善や改良を進めながら、モノが元気に働き続けるためには、ライフサイクル全体を通したメンテナンスの管理が不可欠だ。設計から製造、使用までのデータをひとまとめにして管理し、必要なときにサッと取り出せるようにすれば、突発故障、緊急時に文書庫から使いこなした手順書を瞬時に手にし、チーム対応できる。コンピュータの助けもあり、今夏改善は急加速中。デジタルプロセスや仮想生産、DXといった言葉が飛び交い、3D設計や生産プリンター、バーチャル空間など、昔ならSF映画の中だけだった技術が現実に大活躍している。開発では、コンピュータ・デジタル支援によってリードタイム短縮やコスト削減を実現しつつ、品質はむしろアップ。そして、開発設計に下流から寄せる摺合評価による負荷増大も回避できる。メンテナンスの世界でも、設備のライフサイクルを通じたデータ管理や解析を行うには膨大な作業量が必要だが、ここでもITやAIが頼れる助っ人となり、作業負担を一気に軽くしてくれる。

p.7 ~8 劣化·故障解析の目的は故障の予測

劣化・故障解析の目的は、設備が年とともに変化・変更により久しぶりに表してくる“味わい”……いや、単なる劣化や、使いすぎてすねてしまう故障を先回りして予測することにあります。これらの解析は、①開発段階で「この子は元気生きするぞ」と信頼性や保全性を盛り込むとき、②運用中に「そろそろ健康診断」と基本メンテ計画を立てるとき、③突然の不具合に「どうしたの?」と診断する場面など、あらゆるシーンで劣化・故障解析は引っ張りだこになります。劣化とは、物理的・化学的にモノの性格や見た目がじわじわ変わること。一方、故障は「もう無理!」と機能放棄する瞬間です。運用中のアイテムは、運転条件や環境条件から日々ストレスをうけ、材質や形状、表面性状に変化・変更が起こります。このストレスは設備構造や挙動、環境によって違い、さらに劣化の仕方はアイテムの個性次第。だからこそ、劣化解析では原因をピンポイントで見抜くのが肝心なのです。

 

劣化・故障解析は、信頼性や安全性の解析、メンテナンス計画など、あらゆる分野で必要とされる基本的な解析です。中でも有名なのが、まるで探偵が事件を解くように不具合の原因を追い詰めるFMEA(Failure Mode and Effects Analysis)と、推理小説のように原因をツリー状にたどるFTA(Fault Tree Analysis)です。

p.9  製造業の世界でもIT、IoT活用、DXへの関心さらにAI関心が増大

多くの企業が「成果がなかなか出ない!」や「全体最適の基盤作りが迷子状態!」と嘆く中、AIとは仲良く付き合って使いこなすのが秘訣。基本戦略はシンプルで、ITデータにAIを投入し、集めたデータをうま〜く料理してフィードバック機構を作成、それを製造ラインに反映させること。まるでAIが製造ラインのチームリーダー的な料理長になったかのような展開です。